高年齢層の呼吸器疾患の入院症例が多くありました。
抗がん剤治療を行なう肺がん、肺炎に対する抗生剤治療、高齢者に多く見られる誤嚥から発症する肺炎の3つです。
誤嚥性肺炎の患者さんは、もともと他院に入院していた方が多く、治療後、元の病院へ戻るために転院率が他の2つより高くなっています。

呼吸器の感染疾患（肺炎、上気道炎）と喘息の症例が多くなっています。
入院での点滴治療などが必要となる疾患であり、平日の外来で受診後、入院となる場合と、夜間・休日に救急外来から入院する場合とがあります。

胆のう疾患（胆のう炎、胆のう結石）、乳がん、結腸がんと、いずれも手術を要する症例が多くなりました。
計画的な治療により、全国の平均在院日数より短い期間で退院できています。

最も多いのが、高齢者の転倒による大腿骨頚部骨折の症例です。これは、すみやかな手術と早期のリハビリテーションによって、寝たきりを防ぐ地域的な取り組みが重要です。そのため当院では、術後すみやかに専門的なリハビリテーションを行える病院に転院できるよう連携しています。

眼瞼下垂、顔や首など見える場所の腫瘍、乳がん術後の再建術と、いずれもQOLを高める手術を行なっています。

脳出血で頭蓋内に血液がたまった症例や、脳血管の奇形に対して手術をした症例と、転落等での頭部外傷に対する症例が多くありました。
当院での急性期治療のあと、地域の医療機関に経過を診ていただける症例は、積極的に紹介しています。

肺がんの手術と、肺から空気が漏れる気胸の症例が多くありました。
肺がんは計画的な治療により、全国平均より短い日数での退院となっています。気胸は突発的に起きるため、入院日数に幅があります。

いずれも血管手術を要する症例です。動脈にできたこぶ（動脈瘤）が破裂しないよう血管内に筒を入れる症例、血管の内側が裂けた（解離）箇所への手術症例、詰まった血管を切り開いたり、つなぎ直して血流を再開させる手術症例です。

主に小児のおなかに関する症例が多くなっています。
平日の外来で受診後、入院となる場合と、夜間・休日に救急外来から入院する場合とがあります。

眼科入院は、大半が手術のための入院です。網膜剥離は緊急手術を要します。緑内障の多くはあらかじめ手術予定を立てた入院です。

慢性副鼻腔炎は、いわゆる「ちくのう症」と呼ばれるものです。主に手術を行なう症例が入院となります。
突発性難聴は、ステロイド治療、高気圧酸素療法などを行ないます。
その他、耳、鼻、のどにできた癌以外の腫瘍を取り除く手術症例があります。

基本的には他の診療科での入院中に放射線科を併診しますが、昨年度は、放射線科が診察を受け持った症例が1件ありました。骨に転移したがんに対する放射線治療を行ないました。

脳梗塞は、脳の血管が血栓によって詰まってしまう疾患です。脳梗塞の早期治療では、発症後4.5時間以内に血栓を溶かすｔPA製剤が多く用いられました。また、脳梗塞は初期治療のあと、早期にリハビリテーションを始めることで、寝たきりになるのを防ぐ地域的な取り組みが重要です。そのため当院では、すみやかに専門的なリハビリテーションを行える病院に転院できるよう連携しています。

主に大腿などに最近が感染して起きる蜂巣炎、水ぼうそうのウイルスが再活性化して痛みを伴う水疱ができる帯状疱疹、何らかの原因で皮膚の下に水を伴うふくらみができる水疱症の3つが多くありました。水疱症は原因により、治療期間に幅があります。

手術を行なった膀胱がん、尿管結石、尿路から細菌が奥に入って感染がおきる尿路感染症などの症例が多くありました。
いずれも全国平均より早い退院となっています。

当院は総合周産期母子医療センターの指定を受けています。そのため、手術症例も多く扱っています。また、早産で生まれた低出生体重児は、新生児集中治療室でケアを行ないます。

子宮頸がん、子宮体がんへの化学療法、卵巣がんへの化学療法が多くありました。2番目、3番目はどちらも卵巣がんへの化学療法ですが、使用する抗がん剤によって集計が分かれています。

内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術は、結腸にできたポリープを内視鏡を使って切除します。
内視鏡的乳頭切開術は、十二指腸から胆管に内視鏡を入れて胆管の結石を除きます。
経皮的シャント拡張術・血栓除去術は、人工透析のために動脈と静脈をつなぎあわせた部分（内シャント）が狭くなったり、詰まったりしたとき、血管内にカテーテルを入れて血流を改善させます。多くの場合、入院日に施行し、血流に問題なければ翌日に退院しています。

新生児仮死蘇生術は、出生直後の心拍、呼吸等が弱い（仮死１度）またはほとんど認めない（仮死２度）に対し、直ちに行なう蘇生措置です。出生直後のため、術前日数は０日です。早産児が仮死だった場合、標準的な体重になるまで新生児集中治療室でケアをするので、術後日数が長くなります。
腹腔鏡下虫垂切除術は、虫垂炎に対し、腹腔鏡でお腹の中を見ながら虫垂を切り取る手術です。開腹手術よりもお腹を切る範囲が狭いので、術後日数が短いです。

腹腔鏡下胆嚢摘出術は胆のう結石や胆のうポリープなどを、腹腔鏡でお腹の中を見ながら胆のうを手術します。開腹手術よりもお腹を切る範囲が狭いので、術後日数が短いです。
鼠径ヘルニア手術は、鼠径部の隙間から臓器が飛び出さないよう、隙間を補強する手術です。
乳腺悪性腫瘍手術で腋窩部郭清を伴わないものは、腋窩リンパ節転移がなく、がんの進展範囲が広い場合に乳房を切除する手術です。

骨折観血的手術は、骨折部分を切り開いて、折れた骨をワイヤーやネジで固定します。
人工関節置換術は、主に関節リウマチなどで破壊、変形が進んで動きが悪い関節を、人工関節に置き換える手術です。
脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術は、脊柱の動きがなんらかの症状（外傷、炎症、変形、腫瘍など）で妨げられて本来の動きができない時に、病変部の固定、切除、ネジや埋め込み材での補強などで、動きを取り戻すために行ないます。

眼瞼下垂症手術は、まぶたが下がって物が見えにくい状態を改善するために行います。
乳房再建術は、乳腺悪性腫瘍術で乳房切除したあとに、ゲル充填人工乳房を用いて乳房を再建する手術です。
皮膚、皮下腫瘍摘出術は、皮膚やその奥にできた良性腫瘍やいぼを取る手術です。露出部とは、頭部、頚部、上肢の肘より先端部、下肢は膝から下をいいます。

慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術は、頭のケガのあと、長期間にわたって少しずつ出血して頭にたまった血液（血腫）によって脳が圧迫されたときに、血腫を除きます。
頭蓋内腫瘍摘出術は、頭蓋内にできた腫瘍を取り除きます。脳そのもの触れる箇所のため、熟練した技術を要します。
脳動脈瘤頸部クリッピングは、脳動脈にできたこぶ（動脈瘤）が破裂しないよう、金属のクリップをはさんで脳動脈瘤の中に血流が通わないようにします。

胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術は、開胸せず胸腔鏡で見ながら肺がんを取り除きます。開胸手術よりも胸を切り開く範囲が狭いので、術後日数が短いです。
肺悪性腫瘍手術は、胸部を開いて直接肺がんを見ながら取り除きます。

下肢静脈瘤手術は、下肢の静脈弁のはたらきが悪くなって、静脈に血液がたまった状態（静脈瘤）を改善するために行います。血管をしばる方法と、静脈を抜き取る方法があります。
ステントグラフト内挿術は、太い血管にできたこぶ（大動脈瘤）が破裂して大出血するのを防ぐために、ステントグラフトというバネ状金属を入れます。動脈瘤は残りますが、バネの力で血流が遮断されて、破裂を防ぎます。
血管移植術、バイパス移植術は、動脈硬化などで血流がほとんどなくなった血管部分を人工血管と交換したり、別に血液の通り道（バイパス）を作って、血流を改善させる手術です。

鼠径ヘルニア手術は、鼠径部（太ももの付け根）から臓器が飛び出るのを改善する手術です。成人と小児で違う方法があります。
臍ヘルニア手術は、いわゆる「でべそ」を治療します。

水晶体再建術は、主に白内障で行います。水晶体の濁りで視力が低下した場合に、濁った水晶体を除いて、人工レンズを入れます。
硝子体茎顕微鏡下離断術は、目の内部を満たすゼリー状の硝子体を観察しながら、網膜剥離や糖尿病網膜症の原因となっているところを取り除きます。
緑内障手術は、眼圧が上がって視神経を圧迫する状態の治療として、目の中を流れる房水の流れを改善して眼圧を下げる手術です。

口蓋扁桃手術は、扁桃肥大で呼吸や飲み込みに障害がみられる場合や、急性扁桃炎を繰り返す場合に扁桃を取り除きます。
内視鏡下鼻・副鼻腔手術は、主に慢性副鼻腔炎に対するもので、病的に肥厚した粘膜を切除します。
耳下腺腫瘍摘出術は、耳下腺にできた良性腫瘍を取り除きます。

神経内科での手術は、主に他の傷病が併存していた症例です。
平成27年度は、咽頭癌に伴う腫瘍随伴症候群の症例と、破傷風の症例に対する呼吸管理として気管切開を施行しました。
胃瘻造設術は、パーキンソン病、多系統萎縮症での嚥下障害に対し1例ずつ施行しました。
脊椎固定術1件は、胸椎黄色靭帯骨化症に対する施行ですが、退院前に脳梗塞を発症したため、神経内科に転科しました。

分層植皮術は、熱傷に対して4件、その他血管腫、慢性膿皮症、多発褥瘡に対し1件ずつ施行しました。
皮膚、皮下腫瘍摘出術は、脂肪腫および毛巣洞に対して施行しました。
大腿有棘細胞癌と陰のうパジェット病に対し、皮膚悪性腫瘍切除術を施行しました。

膀胱悪性腫瘍手術（経尿道的手術）は、内視鏡で尿道を経由して、膀胱癌を除去します。
経尿道的尿路結石除去術（レーザー）は、内視鏡で尿道を経由して、結石をレーザーで破砕します。
経尿道的レーザー前立腺切除術は、前立腺肥大症に対し、内視鏡で尿道を経由して、前立腺をレーザーで切除します。

帝王切開は、あらかじめ予定して行なう「選択帝王切開」と、緊急に行うものとに分かれます。当院は、総合周産期母子医療センターであるので、緊急搬送での分娩例も多くなっています。

子宮頸部（腟部）切除術は、子宮頚部異形成や、子宮頚上皮内癌に対して行います。
子宮附属器腫瘍摘出術は、卵巣癌、卵管癌に対して施行します。
子宮全摘術は、主に子宮筋腫の場合に施行します。