概要
新潟県中越地区のリウマチセンターならびに日本リウマチ学会教育認定施設として整形外科系(リウマチ・関節外 科)と内科系(リウマチ・膠原病・腎)のリウマチ医が協力してリウマチ性疾患全般の診療を行っています。複数のリウマチ専門医、指導医が常勤しており、周辺の多くの医療施設より多数の患者様をご紹介いただいております。また、新薬の治験にも積極的に参加しております。
人工関節置換術などのリウマチ外科手術も整形外科専門医の協力を得て多数行っており(整形外科リンク)、リハビリについては院内のリハビリセンターで急性期リハビリを行った後、必要に応じて通院リハビリ(含む他院での回復期リハビリ)をすすめていきます。
ご挨拶
「リウマチ性疾患」というと原因のわからないこわい病気、不治の病というイメージを抱かれる方もいらっしゃると思いますが、現在この分野は非常に研究が進み、次々と効果の高い薬が登場してきています。しかし一方でそれらを安全に、効果的に使いこなすためには専門的な知識と経験が欠かせません。当センターでは整形系、内科系のリウマチ専門医、看護師、薬剤師が一緒になって患者様と相談しながら、一人一人に合った医療を提供したいと考えております。ぜひ何でもお気軽にご相談ください。
なお、リウマチ性疾患の診療にはリウマチ以外の疾患も含めて患者様の今までの病歴、治療内容や検査結果が非常に重要ですので、ほかの医療機関にかかっていらっしゃる方は必ず紹介状をご持参くださいますようお願い申し上げます。
(リウマチセンター長 佐伯敬子)
特色・方針
詳細な問診、診察、種々の検査(関節炎については関節超音波検査、関節穿刺検査なども)を組みあわせて正しく診断し、科学的根拠(エビデンス)、診療ガイドラインをもとに、個々の患者様の症状、合併症、社会的背景などを考慮して治療方針をたてていきます。病状が安定しましたら、お近くの“かかりつけ医”との連携診療(普段の診察、検査、処方はかかりつけで、当院は年1-2回など)も考慮します。なお、当院は救命救急センターを併設しており、緊急事態には24時間対応しております。
対象疾患
関節リウマチを中心に、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、シェーグレン症候群、血管炎、リウマチ性多発筋痛症、成人スティル病、リウマチ反応陰性脊椎関節症(強直性脊椎炎など)、自己炎症性疾患、IgG4関連疾患、ステロイド性骨粗鬆症、全身性変形性関節症などを対象としております。個々の疾患の情報につきましてはリウマチ情報センター、難病情報センターをご参照ください。
関節リウマチ
メトトレキサートを中心とした従来型の抗リウマチ薬で効果不十分な場合、診療ガイドラインにのっとり、生物学的製剤やJAK阻害薬などのより強力な治療を患者様の状態を考慮しながら積極的に取り入れています。リウマチ専門整形外科と一緒に診療しており、適切に手術療法、リハビリ療法もとりいれています。また新薬の治験にも参加しております。
全身性エリテマトーデス(SLE)、血管炎など
かつてはステロイドホルモン剤が治療の中心でしたが、現在では免疫調節薬、免疫抑制薬、分子標的薬などを駆使してできるだけ早期にステロイドを減量する治療を心がけております。
腎炎合併が疑われる患者様では腎グループと共同で積極的に腎生検を行い、正しく診断して治療方針を決定しています。
全身性強皮症
皮膚科、呼吸器内科、循環器内科などと連携し、皮膚硬化、間質性肺炎、肺高血圧症などの難治性病態に対して分子標的薬、新しい肺高血圧治療薬など積極的に取り入れています。
IgG4関連疾患(自己免疫性膵炎やミクリッツ病など)
21世紀に入って本邦から発信された新しい疾患ですが、当院では発見当初よりこの疾患の診断、治療に深くかかわっており、IgG4関連疾患地域中核病院となっています。(https://igg4.jp/pa/rcorehospital/)ステロイドホルモン剤が治療の中心でしたが最近新薬が登場し、その治験にも参加しています。
診療実績
関節リウマチ
現在1,800人ほどの患者様が通院されていらっしゃいます。生物学的製剤は後続品も含め現在12種類、またJAK阻害薬は5種類発売されておりますが、そのすべてを採用し患者様の状態に合わせて使い分けており、2003年の生物学的製剤承認以降、今までに2,000例以上導入してきました。
手術
(対象期間:2010年1月1日~2023年12月31日)
この図は当院における人工関節置換術(含む人工骨頭置換)の推移を調べたものです。2021と2022年はCOVID-19による予定手術制限で減りました。最も手術件数が多かったのは2018年の222件で、2023年は回復して214件でした。
略語の説明:
THA(人工股関節),TKA(人工膝関節),TSA(人工肩関節),HHR(上腕骨頭),TEA(人工肘関節),TAA(人工足関節),SW(人工指関節・趾関節),RHR(橈骨骨頭),FHR(大腿頸部骨折に対する人工骨頭置換)
この図は施術患者さんの内訳です。変形性関節症をはじめとするリウマチ以外の疾患に対する人工関節置換術は増加しています。RA患者への人工関節置換術の占める割合は2010年の44.4%から、2023年では25.7%と右下がりとなっています。
これはRA患者さんに対する人工関節置換術の関節別の推移です。生物学的製剤の進歩・普及につれて、人工膝関節(TKA)を中心に手術件数は減少しましたが、手足の関節に対する機能再建術が増えたことに加え、薬物療法困難な難治性関節リウマチ(D2T-RA)に対する整形外科的介入の実績やCOVID-19による手術制限の解除などにより、RAの手術療法は下げ止まりとなってきました。
これはRA前足部変形に対する再建術の年次別推移です。当科では、足底からでなく背側進入による外側4趾に対する骨頭ならびに関節機能温存手術(中足骨遠位部での斜め骨切り短縮術:SOO)と、母趾MTP関節には長さの調節と機能回復を目的にSwanson人工趾関節置換術との組み合わせを推奨して来ました。生物学的製剤の時代となった今、母趾MTP関節を温存する矯正骨切り術での対応例も多くなってきました。
医師紹介
氏名 | 職位 | 専門領域 | 認定資格等 |
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佐伯 敬子 (昭和60年卒) |
リウマチセンター長 部長 |
リウマチ科 内科 腎臓内科 |
日本内科学会総合内科専門医・指導医 日本リウマチ学会専門医・指導医 日本腎臓学会専門医・指導医 日本透析医学会専門医 |
中枝 武司 (平成10年卒) |
部長 | リウマチ科 内科 腎臓内科 |
日本内科学会総合内科専門医・指導医 日本リウマチ学会専門医・指導医 |
根津 貴広 (平成13年卒) |
部長 | リウマチ科 整形外科 |
日本リウマチ学会専門医 日本整形外科学会専門医 |
伊藤 徹 (平成25年卒) |
副部長 | リウマチ科 内科 腎臓内科 |
日本内科学会総合内科専門医 日本リウマチ学会専門医 日本腎臓学会専門医 日本透析医学会専門医 |