概要
当科は、心臓、大動脈、末梢血管といった循環器系の疾患を専門に診療しています。
近年、食生活の変化や運動不足などを背景に、日本でも動脈硬化性疾患が増加傾向にあります。動脈硬化は心臓や血管に重大な影響を及ぼすため、当科ではこれらの疾患の診療に力を入れています。さらに、高齢化社会の進展に伴い心不全患者さんが急増しており、心不全の診療と管理も重要な柱となっています。また、不整脈の診断と治療にも積極的に取り組んでいます。
ご挨拶
当院の循環器内科は、昭和46年4月に開設され、昭和54年より心エコー・運動負荷検査・ホルター心電図の生理検査開始、昭和57年より心臓カテーテル検査を開始した伝統のある診療科であります。また、中越地域のみならず、県央地域から柏崎、魚沼地域と広い範囲の患者さんの循環器診療に当たってまいりました。これからも地域の医療に貢献できるよう高い志を持ち、患者さんにとって最適な、質の高い医療を提供できるよう尽力してまいる所存です。
特色・方針
当科は、虚血性心疾患、心不全、心筋症、弁膜症、不整脈、末梢動脈疾患など、多岐にわたる循環器疾患の診療を行っています。また、動脈硬化性疾患の予防という観点から、生活習慣病である高血圧、糖尿病、脂質異常症の治療を重要視しています。
循環器疾患は緊急性を要することが多いため、365日24時間体制で迅速な対応を心がけています。当番医を中心にチームで連携し、急性心筋梗塞や急性心不全などの緊急疾患に対応します。重症例や外科的治療が必要な患者さんに対しては、救急科や心臓血管外科と密に連携し、最善の治療を提供します。
また、患者さんのQOL(生活の質)向上と疾患の再発予防のため、医師だけでなく看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士など多職種が連携する包括的なチーム医療を実践しています。その一環として、心臓リハビリテーションを積極的に取り入れ、患者さんの社会復帰を支援しています。
対象疾患について
- 虚血性心疾患:狭心症、不安定狭心症、急性心筋梗塞、無症候性心筋虚血など
- 末梢動脈疾患:下肢の動脈硬化性疾患、腎動脈狭窄など
- 心不全:種々の循環器疾患に伴う急性心不全、慢性心不全
- 不整脈:洞不全症候群や房室ブロックの徐脈性不整脈、発作性上室性頻拍や心房頻拍、心房細動、心房粗動の上室性頻脈性不整脈、心室頻拍や心室細動の心室性不整脈、頻脈をきたすWPW症候群やQT延長症候群、ブルガダ症候群など
- 弁膜疾患:大動脈弁狭窄、大動脈弁閉鎖不全、僧房弁狭窄、僧房弁閉鎖不全など
- 心筋症:肥大型心筋症、拡張型心筋症、拘束型心筋症、二次性心筋症
- 炎症性疾患:感染性心内膜炎、心筋炎、心外膜炎
- 先天性心疾患:心房中隔欠損、心室中隔欠損など
- 大動脈疾患:動脈瘤、大動脈解離、大動脈炎
- 種々の疾患に伴う肺高血圧
- 種々の疾患に伴う心タンポナーデ
- 種々の原因による失神
- 生活習慣病:高血圧、脂質異常症、糖尿病
不整脈に対するカテーテルアブレーション、致死性不整脈や重症心不全に対する植込み型除細動器(ICD)、両心室ペーシング機能付き除細動器(CRT-D)、弁膜症に対するカテーテル治療は、現在当院では実施しておりません。これらの治療が必要な患者様は、実施可能な専門施設と連携し、紹介させていただいております。
特に、心房細動等に対するカテーテルアブレーションをご希望される患者様の場合は、患者様のご負担軽減のため、実施施設へ直接ご紹介いただくことをお勧めいたします。
診療実績
(対象期間:1月1日~12月31日)
2022年 | 2023年 | 2024年 | |
---|---|---|---|
急性心筋梗塞の入院 | 94 | 105 | 107 |
心不全の入院 | 545 | 538 | 573 |
心臓カテーテル | 218 | 308 | 227 |
不整脈の電気生理検査 | 3 | 2 | 2 |
冠動脈形成術 (うち急性心筋梗塞等による緊急の冠動脈形成術) |
123 (48) |
143 (62) |
183 (89) |
大動脈バルーンパンピング(IABP) | 7 | 8 | 22 |
経皮的心肺補助装置(PCPS) | 1 | 1 | 6 |
ペースメーカーの植え込み(新規) | 35 | 35 | 37 |
ペースメーカーの植え込み(交換) | 11 | 16 | 15 |
植え込み型徐細動器の植え込み・交換 | 0 | 0 | 0 |
不整脈に対するカテーテルアブレーション | 0 | 0 | 0 |
医師紹介
氏名 | 職位 | 専門領域 | 認定資格等 |
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富田 任 (平成16年卒) |
部長 | 日本内科学会認定内科医 日本内科学会総合内科専門医 日本循環器学会認定循環器専門医 日本循環器学会トランスサイレチン型心アミロイドーシスに対する疾患修飾薬導入医師 日本心臓リハビリテーション学会認定指導士 日本心血管インターベンション治療学会認定医 |
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松尾 聖 (平成24年卒) |
副部長 | 日本内科学会認定内科医 日本内科学会総合内科専門医 日本循環器学会認定循環器専門医 日本周術期経食道心エコー(JB-POT)認定医 日本不整脈心電学会植込み型心臓不整脈デバイス認定士 日本不整脈心電学会認定心電図専門士 ICD/CRT研修修了 |
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加瀬 真弓 (平成26年卒) |
副部長 | 日本内科学会認定内科医 日本内科学会総合内科専門医 日本循環器学会認定循環器専門医 日本超音波医学会超音波専門医 日本周術期経食道心エコー(JB-POT)認定医 日本心エコー図学会SHD認証医 |
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鷲山 雄三 (平成27年卒) |
日本内科学会認定内科医 | ||
澤口 源太 (令和1年卒) |
日本専門医機構認定内科専門医 | ||
金子 直広 (令和5年卒) |
お知らせ
●平成27年5月より心臓リハビリテーションの運用を開始しました。
●平成27年7月より、PET CTの運用が開始されました。循環器疾患では心サルコイドーシス診断症例の検査が可能となっております。
●令和6年11月14日より、トランスサイレチン型心アミロイドーシスに対するビンダケル(疾患修飾薬)導入施設に認定されました。
●令和7年4月より、心肺運動負荷試験(CPX)、体成分分析装置 InBody を導入しました。